景気を左右する「デフレ」と「インフレ」
投資を始める前に世の中の現状を知っておくことは非常に重要です。今回のコラムで学ぶのは「デフレ」と「インフレ」。ニュースや新聞で目にするワードですが、これがどういったことを意味しているのか皆さんはしっかりと理解できていますか?
デフレ(モノの価値<お金の価値)
デフレとは「デフレーション」の略称で、日用品などのモノやサービスの価値(値段)が継続的に下落していく(物価が下落する)現象を指します。モノの価値が下がるということは、対価として支払うお金の価値は上がります。
まずは消費者目線で考えてみましょう。
例えば、1個100円のリンゴが50円で買えるようになったとします。サイズも種類も全く同じなのに100円から50円になったということはリンゴの価値が下がり、逆にお金の価値は上がったことになります。
物価を下げるということは、モノを販売する企業の収益がその分減るということです。先ほどのりんごを100個売ったとき、売上が1万円だったのに、物価が下がったことで売上は5,000円になってしまいます。数が売れれば売れるほど、本当は得られるはずであった利益との差額が大きくなります。これにより以下のような循環が生まれます。
モノを売るために価格を下げますが、単なる値下げでは赤字になるので、人件費や業務備品などのコストを削減します。その影響で給与が減り、人々が消費を抑えようとするわけです。減給は人々の消費を抑え、そうなると企業は更にモノが売れず、更に値下げ、コスト削減…という悪循環に陥ります。お金の動きが少なく、経済がまわっていないこの状況がデフレーションです。
インフレ(モノの価値>お金の価値)
先ほどとは逆に、1個100円で変えていたリンゴが200円に値上がりしたとします。するとリンゴの価値が上がり、お金の価値が下がったことになります。
例えばみなさんも高いと感じていたものでも「消費税が来月上がる」と聞いて、「上がる前に買っておこう」と考えたことはありませんか?この意欲がインフレのカギとなっており、デフレとは逆の好循環を引き起こします。
しかしインフレは必ずしも良いというわけではありません。ここ最近いろんな商品やサービスの値段がどんどん上がっているのをみなさんも感じていると思います。これはコロナウイルスやウクライナ危機による燃料・原材料価格の高騰が主な理由であり、好景気によるインフレというわけではありません。給料が上がらずに物価だけが上がるという悪い物価上昇が起きています。
また、“過度なインフレ(ハイパーインフレ)にならない”ということも重要です。
過度なインフレが生じると物価が著しく上昇し、お金の価値は著しく下がります。給与が増加したとしてもこの変化に耐え切れず、ちょっとしたものを買うにも大きなお金が必要となってしまい、生活が困窮することとなります。
インフレに備えるための投資という選択肢
ここまでデフレ、インフレが引き起こす循環について説明してきました。ですがここで大切なのは「インフレに備える」ということです。
先ほど話したように、インフレが起きた場合、お金の価値は下がります。現金はインフレに弱い資産なため、預けておいた預貯金もインフレ時には価値が下がってしまいます。100万円預けていても実質価値は50万円になっている、なんてこともあり得るのです。
そんな時が日本に来る可能性もあります。ではどうすればいいのか?それがまた投資に繋がってくるというわけです。
インフレの循環では商品やサービスは売れ、企業の利益は上がるとされています。そうなれば給与もあがる可能性はあります。しかしもらえるお金が増えたとしても、その分買うものの単価が高くなっていることで出ていくお金は大きくなるので、結局はお金が増えたことにはなりません。
しかし株式は違います。株価には企業の業績が反映します。利益が上がれば、企業の業績は良くなるのが一般的です。業績がいい企業については今後の期待も上がり、株価に反映、投資した人の資産価値(株式の価値)も上がるというわけです。
当然、売上だけが業績に関わるわけではないので、必ずしも株価が上昇するとは限りません。しかしこのように、投資はお金の価値を守るための一つの手段となっているわけです。
まとめ
さて、今回は「デフレ」「インフレ」について解説してきました。その影響を受ける金融商品として文中にも出てきた「株式」や「投資信託」ですが、みなさんはこれがどういったものかご存じですか?名前は聞いたことがあってもどんなものなのか、違いは何かと問われたら答えられない、なんて人も少なくないはずです。次回はそんな代表的な金融商品「株式」や「投資信託」などの違いについて解説をしていきます。金融商品について学んだ上で、もう一度このコラムを読んでみると更に理解が深まるのではないでしょうか。
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